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280 mWでCRMXの通信距離は本当に伸びる?
LumenRadioのStardustは280 mWをうたい、Ceriseの最大出力は100 mWです。通信距離がほぼ3倍になりそうに聞こえますが、そうではありません。その理由を知っておくと、どのワイヤレスDMXシステムを使うときにも役立ちます。鍵になるのは、送信出力、アンテナ利得、法規制の関係です。
結論:280 mWの大部分は、無線そのものがはるかに強いからではなく、Stardustのアンテナによるものです。障害物のない環境での通信距離は約1.7倍になりますが、合法なのは100 mWを超える出力が認められている地域だけです。EU、英国、日本では、Stardustを含むすべてのCRMXトランスミッターが100 mW以下に収める必要があります。Ceriseでも、より大きな6 dBiのアンテナを使えば同じ結果が得られます。まず現地の規制を確認し、どのアンテナが対応しているかは弊社にお問い合わせください。
mW、dBm、dBi、EIRPとは
- mW(ミリワット)は、無線が実際に出力する電力です。
- dBmは、同じ電力を1 mWを基準とした対数で表したものです。20 dBmは100 mW、24.5 dBmは約280 mWです。
- dBiはアンテナ利得です。全方向に均等に放射する理想的なアンテナと比べて、アンテナが特定の方向にどれだけ電力を集中させるかを表します。
- EIRP(等価等方輻射電力)は、最も強い方向に向けてアンテナから実際に放射される電力で、次の式で求めます。
EIRP = 送信出力(dBm)+ アンテナ利得(dBi)− ケーブルとコネクターの損失(dB)
たとえば、20 dBmの無線に3 dBiのアンテナを付け、ケーブル損失が1 dBの場合、EIRPは22 dBm、約158 mWになります。
| 電力 | dBm |
|---|---|
| 3 mW | 5 dBm |
| 13 mW | 11 dBm |
| 40 mW | 16 dBm |
| 100 mW | 20 dBm |
| 158 mW | 22 dBm |
| 280 mW | 24.5 dBm |
覚えておきたい目安は2つです。+3 dBごとに電力は2倍になり、障害物のない環境では+6 dBごとに通信距離が2倍になります。
280 mWで何が変わるのか
100 mWから280 mWへの増加は+4.5 dBです。障害物のない環境では、通信距離は2.8倍ではなく約1.7倍になります。実際の現場では、壁や人の体、トラック、ほかの2.4 GHz帯の通信のほうが、この差よりも大きく影響します。
Stardustには、出力を上げる理由がもう1つあります。CRMX²モードでは1つの無線チャンネルに2つのユニバースを詰め込みますが、当時LumenRadioのR&DマネージャーだったMichael Karlsson氏は、LumenRadioの公開ユーザーグループで、このモードでは受信機の感度が約2.5 dB下がると説明しています。2.5 dBを補うには、約78%多い電力が必要です。そう考えると、出力の上乗せは、より遠くまで届かせるためであると同時に、CRMX²の通信距離をCRMX Classicに近づけるためでもあります。
Stardustが280 mWに達する仕組み
数値は、無線モジュールのFCC申請資料によるものです。
- TimoTwo(Ceriseをはじめ、ほとんどのCRMX機器に搭載されているCRMXモジュール):伝導電力で約73 mW(18.6 dBm)、FCC ID XRSTIMOMWAN201。
- Stardustのモジュール:伝導電力で約90 mW(19.5 dBm)、FCC ID XRSTIMOMWAN301。
19.5 dBmに5 dBiのアンテナを加えると、EIRPは24.5 dBm、つまり280 mWです。無線そのものはTimoTwoより約1 dB強いだけで、差の大部分はアンテナによるものです。
計算上は、TimoTwoに6 dBiのアンテナを付ければほぼ同じ24.6 dBmになります。ただし実際には、どんなアンテナでも付けてよいわけではありません。認証済みのトランスミッターに別のアンテナを付けると認証の範囲外になり、Ceriseでは、適さないアンテナによって無線が損傷し、保証の対象外になるおそれがあります。より高利得のアンテナや小型のアンテナが必要な場合は、お問い合わせください。対応するアンテナをご案内します。
Ceriseの送信出力
Ceriseの各無線は、付属の2 dBiアンテナを使った状態で、3 mWから100 mW(5〜20 dBm)の範囲で設定できます。設定はWebUIのConfigタブで行い、無線の「TX power」ボタンをクリックしてスライダーを動かします。付属のアンテナを使えば、障害物のない見通しの環境で400 m以上届きます。
常に最大出力がよいとは限りません。小規模な現場やスタジオでは、出力を下げたほうが2.4 GHz帯を使うほかの人たちに余裕が生まれ、灯体側でも違いはわかりません。
狭い空間は特殊なケースです。地下壕や地下室、壁の厚い古い建物では、電波があらゆる面で反射し、受信機の位置で反射波どうしが打ち消し合うことがあります。その結果、灯体が数メートル先にあっても受信状態が悪くなることがあります。こうした場合は、出力を上げるよりも、出力を下げるかトランスミッターを少し動かすほうが効果的なことがよくあります。
高利得アンテナのトレードオフ
アンテナ利得は電力を生み出すのではなく、電力の向きを変えるだけです。高利得アンテナは、フラッドライトに対するスポットライトのように、ある方向にはより多くのエネルギーを送り、ほかの方向には少なく送ります。向けた方向には遠くまで届きますが、それ以外の範囲はカバーしにくくなるため、設置位置がよりシビアになり、アンテナの周りを移動する灯体は信号が途切れることがあります。
スライダーを動かすと、垂直アンテナの放射パターンが利得によってどう変わるかを確認できます。上から見ると常に完全な円のままですが、横から見ると「ドーナツ」が平たくなり、水平方向にはより遠くまで届く一方、上下のカバー範囲は狭くなります。
100 mWを超える出力が合法な地域
2.4 GHz帯の規制は地域によって異なります。
- EU・英国:EIRPで最大100 mW(アンテナ利得を含む)。高利得アンテナを使う場合は、トランスミッターの出力を下げる必要があります。
- 米国・カナダ:上限は伝導電力に適用され、アンテナ利得は別に扱われるため、トランスミッターは100 mWを大きく超える電力を合法的に放射できます。
- オーストラリア・ニュージーランド:この種の無線機器では、同様に100 mWを超える出力が認められています。
- インド:免許不要で、送信機の出力は最大1 W、アンテナ利得を含めて最大4 Wまで認められています。
- 日本、中国、アジアの多くの国:100 mW以下。
作業する国や地域の最新の規制を必ず確認してください。規制は変わることがあり、屋内か屋外かで異なるものや、特定の認証が必要な国もあります。
通信距離を伸ばすためのより良い方法
出力を上げる前に、次の方法を試してください。
- アンテナを高い位置に設置し、灯体との見通しを確保します。
- トランスミッターを金属や人の体、ほかのトランスミッターから離します。
- Ceriseのスペクトラムアナライザーで、ほかのシステムが使っているチャンネルをブロックし、CRMXが電波の使用時間を奪い合わないようにします。
- 長距離の場合は信号を中継します。CRMX受信機から、灯体の近くに置いた2台目のトランスミッターに信号を送ります。
- 1つの出力だけ通信距離が短い場合は、トラブルシューティングガイドを参考に、アンテナとコネクターを確認してください。